光化学協会

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会長挨拶

光化学協会会長
池田 浩

 この度、光化学協会の会長を仰せつかった大阪公立大学の池田 浩と申します。
 2年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 2020-2021年は誰もが新型コロナウィルス感染症の対応に追われた2年間だったと思いますが、光化学協会も例外ではありませんでした。しかし、石谷治前会長の名指揮、光化学協会役員の皆様の献身的なご貢献、そして会員の皆様のご協力の甲斐あり、光化学討論会など主要行事もオンラインながら無事に終えて、光化学協会の活動は停滞することなく、むしろより順調に運営されております。皆様のご尽力に深く感謝申し上げます。
 2022-2023年の光化学協会はこの2年間の経験を活かし、コロナとの共存も含めたポストコロナの時代の光化学を切り拓いて行かなければなりません。そのためには光化学協会に対する皆様のご理解とご協力が必要でありますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 さて、化学という学問は例えば物理化学、有機化学、無機化学の三つに大別されます。光化学は強いて言えば物理化学に分類されますが、今ではむしろ3分野を均等に横断する複合化学と捉えた方が良いでしょう。この点が光化学が他の学問と大きく異なる特長です。さらに化学という狭い枠には入りきらず、光化学は物理学、生物学、さらには医学、電子工学にも深く関連する学際的な研究分野です。また、光化学が関連するのは基礎分野だけではありません。光化学は応用分野・産業界とも深いつながりがあり、科学技術の発展に貢献し、そしてまたその恩恵を受けて光化学自身も発展してきました。「光化学」という言葉について、光を電磁波、化学(Chemistry)を変化の科学(Science of Change) と捉えれば、関連分野の大きさは容易に想像できるでしょう。ちなみに、光関連の事象・技術をまとめたグラフィカル資料「光マップ」が文部科学省のホームページにありますので、参考資料として是非ご覧下さい。

 光化学協会は、このように多様な光化学を研究しようとする大学・企業関係者が集う、開かれたコミュニティです。光化学協会は様々な研究課題をもつ研究者、学生、企業人が光化学について学びあい、協力してお互いの研究・業務を発展させていこうとする集団であり、そのために毎年、光化学討論会・光化学基礎講座・光化学応用講座・光化学協会ー賛助会員共同セミナーの主催、光化学若手の会などの共催、協会誌・光化学と協会総説誌・J. Photochem. Photobiol. C (Elsevier) の出版、各種賞の表彰などの事業を行っております。光化学の初学者である学生さんや、光化学研究には経験があるが光化学協会には縁が無かった大学や企業での研究者の方々、私たちと一緒に光化学を研究してみませんか。これまでの謎や疑問、問題点が解決でき、新しい展開がきっと見つかるかと思います。

 「21世紀は光の時代」と言われて早、20年余りが過ぎました。我々の身の回りの製品を見ても、光関連の科学技術の重要性・発展性は以前に比べ確かに増しています。それに応じて光化学もますます発展するに違いありません。1976年に創設された光化学協会は2026年には創立50周年を迎えますが、その頃には会員の皆さんとどんな光化学を展開できているか、今から大変楽しみです。
 皆様の光化学協会に対するご理解とご協力をお願い申し上げます。

2022-2023 光化学協会会長
池田 浩(大阪公立大学)